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【1/14】リケジョ研究者への道(理系女子生徒とJAMSTEC小俣珠乃先生との座談会)

令和7年1月14日(火)の第2回SS先端科学講演会実施後に、JAMSTEC小俣珠乃先生と5名の理系女子生徒との座談会を行いました。理系女性研究者としてのロールモデルである小俣珠乃先生に、研究の大切さややりがい、心構え等々様々なことをお聞きしました。以下、座談会内容です。

座談会(参加者:JAMSTEC小俣珠乃先生、仙台三高生徒:小倉葵・井上凪子・齊田萌桃・小斎凛乃・伊藤天伽)

 

(Q1:小俣先生の大学院生時代について)

その当時すごく景気が悪くて、今で言う「失われた20年」というかバブルがはじけて最初のあたりで非常に就職が大変な時代でした。その時の経験から思うことは、目標を立てても経済の風が吹かない時代で税収も景気も活性化しない時代でしたが、知識を持っていれば、その知識を用いて新しい生活ができるということだと思います。

 

(Q2:世界の地学研究について)

世界の四大地球科学学会(JpGU、AGU、EGU、AOGS)があって、研究成果の発表や国際交流も目的ですが、日本の研究者として、そこでの成果や地球科学に関する様々な事柄を文科省に報告したり提案する役割もあります。また、日本の高校生が世界に発信するために英語を用いて発表をする機会を作るため、2026年に行われるJpGU とAGUの合同開催の時に英語での中高生ポスター発表セッションを企画提案しています。私はJpGUの委員もしており、こういった活動も私の委員としての役割と思っています。

 

(Q3:世界大会に出場して、自分の研究を世界へ発信していきたいという生徒に向けて)

AGUにはブライトスタープログラムという中高生対象のポスター発表プログラムがあります。このプログラムを仕切っている先生は非常にパワフルな方で、「教育って言うのは人生を変える力があるのです!このような高校生を育てる企画を私たちがやらないと」と話をされています。AGUのような学会に参加できると、そのような人に自分の存在を知ってもらったり、研究を見てもらったりすることができます。大学生が大学院に入ったり、大学院生がポスドクとして採用されるチャンスを得るため、学会で有名な先生に自分でEメールを送って、自分はこういう研究をしているので学会の大会で会えませんかと連絡したりします。学会発表の機会を使って事前に自分を売り込むことは普通です。また、研究をするために助成金が大切になってきます。早いうちから様々なコンテストに挑戦していく経験は、研究者になってから生きていくことだと思います。

 

(Q4:時代の変化が早い昨今で、どのような気持ちをもって今学び、研究者を目指して行けば良いか、という生徒の質問に対して)

高校のときに取り組んだことは非常に大切です。今現在景気が良い事業が、30年後良い事業かは結構違っています。夢をもつことは大事ですが、仕事をすると様々なことに対応しなければならないです。ですので、幅広く様々なことに対応できるようになることが大切です。高校の段階が幅広く教育を学べる最後の段階です。大学は高校ほど幅広く学習はしません。高校で一通り文系科目も理系科目も受けますし、その知識が様々なことを理解する基盤になります。そして、今自分が学んでいる、取り組んでいることがどこかでいずれ大きくなりつながっていき、様々なことに対応できるようになるのだと思います。

 

 (Q5:社会の変化がめまぐるしい中で、思い描いているような仕事に行き着けるのかという生徒の質問に対して)

3年就職浪人を経験したのですが、JAMSTECの事業が大きくなった時期に縁があって、就職することができました。どこから就職の風が吹くかわからないですね。今はプログラミングを学んでおくと様々な職業にプラスかもしれませんね。この先、宇宙や海洋の産業がどうなるかは私たちの生活に非常に大きな影響を及ぼすと思うのですが、それが何かはわかりません。そういうときが来たときに自分たちの知識が役に立つように学んでおけば良いと思います。例えば、科学技術の発展により、ドローンができたことで自分でも手軽に撮影できるようになりました。私は自分でも陸、海、空のそれぞれの映像を撮影して編集したり、発注作業をしたりしましたが、それは地学の勉強だけをしたからできる訳ではありません。時代の流れに対応していく下地を作るために、様々な事を勉強しておくことが大切です。

 

(最後に小俣先生より)

今回、生徒の皆さんと少しお話しする機会があり、自分で努力して自分の人生を切り開いていくという意思を感じました。未来のことは誰にもわからないけど、自分たちの力で将来を開いていくという若い人の気持ちは、様々な試練に向き合うという勇気を年長者にも与えてくれるのだということを改めて思い出しました。

今回、生徒の皆さんとお会いできて、私もかけがえのない時間を経験することができました。

ありがとうございました。

 

 

・JpGU  :日本地球惑星科学連合

・AGU   :アメリカ地球物理学連合

・EGU   :欧州地球科学連合

・AOGS :アジア-オセアニア地球科学連合