SSH通信

#02 2010-07-17

2年理数科研修会

2年理数科研修会

6月30日(水),理数科2年生の理数科研修会で,東北大学工学部を訪れました。工学部には5つの学科,機械知能航空工学科・情報知能システム総合学科・化学バイオ工学科・材料科学総合学科・建築社会環境工学科があります。私たちはそのそれぞれに分かれて,研究室を見学しました。研究室では,教授の方々による研究内容の説明や,研究室の機器などの紹介,大学生との懇談の場などがありました。

私の行った機械知能航空工学科では数値流体力学の研究をしていて,航空機周辺の風の流れや圧力の強さのちがいをコンピューターを用いて計算し,次世代航空機の形状を提案を行っていました。その研究室訪問のなかで,やはり一番興味深かったのは,現役大学院生との懇談です。歳もそう遠くなく話しやすかったので,大学での生活や,高校生での勉強法やアドバイスを沢山聞くことができました。オープンキャンパスや資料では分からないことも知ることが出来,とても参考になりました。

今回の理数科研修会では,普段知り得ない情報や,体験,施設見学ができて,とても貴重で充実した時間を過ごすことができました。今回得た情報は,私たちの今後の進路選択等に役立てていこうと思います。

 

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第1回 SSH身近なテクノロジー HDDの分解

第1回 SSH身近なテクノロジー HDDの分解

今回はHDD(ハードディスクドライブ)について紹介したいと思います。7月13日(火),私たちはSSHの活動としてHDDの分解を行いました。

解体を始めようと,最初に外側のネジを外してさっそく中を見てみようとしたら,なかなか外れませんでした。なぜかと思って苦戦していたところ,なんと!貼ってあったシールの下にネジがひとつ隠されていました。どうして隠されていたのか?それはこのHDDを簡単に分解させないための製作者の意図があったからなのです。HDDは非常に細かく,精密な構造でできているため,簡単に開けられてしまうと直すことが不可能になってしまうからです。ちなみに使われていたネジも普通のプラスマイナスドライバーでは回すことができず,専門のドライバーがないと回せない特殊なものが使われていました。

HDDの基本的な構造としては(写真1)の中央に見えるディスクに磁気ヘッド(写真2)から出される磁気を利用してデータを記録するという仕組みです。HDDはデリケートな装置でその構造も髪の毛よりも細い10nm(ナノメートル,1mの1億分の1),とても緻密な間隔で構成されています。特に振動や熱に弱く,取り扱いは慎重に行うべきです。

 ディスクの材質は基本的にアルミが使われていて,最近だとガラス製のものが使われるようになってきているようです。

中には強力な磁石が入っていました。この磁石は磁気ヘッドの制御に使われています。ディスクを動かすモーターはスピンドルモーターという特殊なモーターが使われています。ディスクは毎分4500~15000回転します。回転数は年々増え続けていて,回転数が多いほど高性能なハードディスクであるといえます。

 


写真1

写真2

参考文献

・【初級】知っておきたいストレージの基礎
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060223/230496/

・ハードディスク (hard disk)
http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/hardware/hard_disk.html

 

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SSHコラム #2

電子レンジの秘密(2)

第一回SSHコラムに続き,今回も電子レンジにまつわる面白エピソードを紹介したいと思います。

 

結構多い!電子レンジで温めてはいけない物

電子レンジで調理した料理が爆発したり,加熱した食材が過剰な熱を持って火傷した,そんな経験はないですか?

前回で予告したとおり今回は電子レンジによる加熱ができなかったり,加熱するのが難しい物についてちょっとお話ししたいと思います。温められない物,結構多いんです。

電子レンジで温めてはいけない物の代表的な例として,卵があります。卵を電子レンジでそのまま温めてしまうと爆発するというのは有名な話です。

電子レンジは対象に含まれる水分を超速度で振動させる事で対象を内側から加熱します。よって,卵を電子レンジで温めると,卵の中心から加熱され,黄身の部分に含まれる水分が沸騰します。この時,卵の黄身は,周りを白身と殻に覆われているため,黄身の部分が外気よりも高圧になって沸点が上昇しています。そして黄身は熱膨張による体積の増加に伴い,白身と殻を突き破って外気に到達します。その瞬間,外気に触れた事で急激な減圧が発生,黄身の沸点が下がることで黄身の水分が蒸発気化し,水蒸気爆発が起こるのです。例え卵が破裂する前に取り出したとしても,白身の内部には100℃を越えても沸騰せずに残った水分が存在しています。この状態だと,殻を剥いたり,口に入れた瞬間に爆発するという事態が起こりかねないので非常に危険です。ちなみに,この時の卵は一般的には爆発卵と呼ばれているようです。じつはこの爆発卵,歴史上,電子レンジによって作られた二番目の料理にあたるとか・・・。そういう訳で,電子レンジで卵を殻付きで加熱するのは大変危険です。ゆで卵を作る時は,ちゃんと鍋に水を張って作ることが望ましいです。

また,殻が付いたままの木の実や,薄皮で覆われた,イカやソーセージなどでもこうした爆発が発生する恐れがあるので,これらの食品を電子レンジを使って調理する場合は殻を剥いたり切れ込みを入れるなどして,蒸気を逃がす必要があります。

他にも,生クリームやヨーグルト,天ぷらやフライ,そして豚の角煮等は,含まれる油分が非常に多いため,電子レンジを使ってこれらの食材を加熱すると,温度が上がりすぎて,取り出す時に水分が急激に沸騰する可能性があり危険です。これらの食材を温めたいときは,普段よりも温める時間を短めにしましょう。

また,食材ではありませんが,金属は電子レンジと非常に相性が悪いです。金属が電子レンジの中を飛び交うマイクロ波を乱反射したことで,マイクロ波の発生装置(マグネトロン)にマイクロ波が戻ってきて装置が劣化,これにより電子レンジが故障したという例があります。金属が加熱されることで電気が発生し,電圧が上がることで金属から電気が放電され,火花が散って金属や電子レンジが発火したなんて事もあるようです。アルミホイルを電子レンジ調理に使ってはいけないというのは,恐らくこういう理由なのでしょう。電子レンジ調理に金属製品を使用するのは大変危険なのです。

今回紹介した物以外にも,電子レンジ調理に適さない食材や物質はあります。いつかそのような食材が簡単に調理したり温められたりできる全く新しい電機製品も発明されるのでしょうか?ちょっと楽しみですね。

 

取扱い注意!電子レンジにまつわる悲劇

上で挙げたように,電子レンジに入れる食材や料理,または料理を入れた容器によっては,それが原因で怪我をすることもあります。しかし,あくまでそれは電子レンジで調理をしようとした上で発生した事故。もし本来想定された利用法とは全く別の用途に電子レンジを使った場合は,どんな危険があるのでしょうか?電子レンジの使い方を間違えた事で発生してしまった悲しい事故としてこんな話があります。

それはアメリカのある州に住むお婆さんが,子供達から電子レンジをプレゼントされた事が始まりでした。なんでも程よく温める事が出来るその機械に,このお婆さんは大変感動し,すっかりこの電子レンジを気に入ってしまいました。

ある雨の日,外に散歩に出ていたのでしょうか,お婆さんが飼っていた猫がずぶ濡れで家の中に入ってきて,体を震えさせているのを見て,お婆さんは飼い猫を大変可哀想に思い,どうしようかと考えました。そこでお婆さんが閃きます。「あの電子レンジだったらネコちゃんを簡単に乾かせるし暖めることも出来る!」思いつくと彼女はすぐに行動に移し,自分の飼い猫を電子レンジに入れて蓋を閉め,スイッチを押しました。・・・もう皆さんはお気づきでしょう。当然の結果として,その猫は電子レンジの中で助ける間もなく死んでしまいました。それからお婆さんがこの電子レンジを作った会社を訴えた結果,アメリカの電子レンジの取扱説明書には「猫を電子レンジで暖めてはいけません」という注意書きがつけられる様になったとか・・・。

これは電子レンジ調理の簡易性,家電製品であるという事の安心,そして電子レンジの構造の持つ特殊性が全て組合わさって起こってしまった事故と言えるのではないでしょうか。

しかしながらこの話,アメリカでは割と有名な話だそうで,この話自体は都市伝説である可能性が非常に高いようです。とはいえ,電子レンジが原因で起こった事故で大怪我をしたという例は沢山あります。電子レンジはもちろん,どんな物を使う時も気を配って,安全な使い方をするようにしましょう。

 

YouTubeが見られる面白電子レンジ

YouTubeの動画を楽しむことができる電子レンジが登場しました。慶應義塾大学SFC研究所の渡辺恵太氏と松田聖大氏によるプロジェクトによって生まれたYouYube搭載型の電子レンジ(通称Cast oven)は,ドアの窓部分にモニターが搭載されており,そこにYouTubeの動画が映し出されると言うものです。

しかし,単にYouTubeの動画が流れるだけではありません。そしてやみくもに電子レンジのモニターを付けただけもないのです。なんと,温め時間に応じて流れる動画を選び出し,温め終わるまでのピッタリの長さの動画を再生してくれるのです。つまり,コップ一杯のミルクを30秒ほど温めるならば,30秒の動画を選んでくれると云う事です。このCast Ovenは,リクルート主催のMashupAward5で,優秀賞と審査員特別賞を受賞しました。

こんなに楽しい電子レンジならば,温める必要の無い食べ物も温めてしまいそうです。とはいえ,あくまでこの機能は温め終わるまでの待ち時間を有益に使うものであり,それ以外の時はパソコンでYouTubeを観ましょう。


参考文献

http://freett.com/kiguro/zzz/z-kagaku/renjinikinzoku.html

http://k-gensai.hp.infoseek.co.jp/mythsandtruths/t001microwavecat.html

http://persistent.org/castoven.html

http://sasapanda.net/archives/1338

http://koiad.com/egg/

http://www.sharp.co.jp/support/oven/doc/retd1_mn.pdf

 

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科学イベント

科学イベント紹介

<仙台市科学館主催>

7月19日
ロボット教室中級
時刻:10:00~15:00
場所:仙台市科学館

7月31日
特別展イベント「哺乳類化石を見つけよう!」
時刻:9:00~15:00
場所:化石の森(郷六)・(北赤石)

8月7日
特別展イベント「謎の絶滅哺乳類のレプリカを作ろう!」
時刻:10:00~12:30
場所:仙台市科学館

8月8日
特別展イベント「仙台の哺乳類化石と古環境」
時刻:13:00~13:40
場所:仙台市科学館

8月15日
特別展イベント「化石の名前を調べよう!」
時刻:10:00~12:00,13:00~15:00
場所:仙台市科学館

以上についての詳細はhttp://www.kagakukan.sendai-c.ed.jp/event/index.htmlを参照のこと。

 

<東北大学サイエンスカフェ>

7月23日
マグマの動きを探知する ~火山噴火予知の最前線~
講師:西村 太志 東北大学大学院理学研究科 准教授
場所:せんだいメディアテーク
時刻:18:00~19:45
参考:http://cafe.tohoku.ac.jp/event/no61/index.html

8月20日
形を覚える不思議な金属~形状記憶合金の世界~
講師:貝沼 亮介 東北大学大学院工学研究科 教授
場所:せんだいメディアテーク
時刻:18:00~19:45 
参考:http://cafe.tohoku.ac.jp/event/no62/index.html

 

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