SSH通信

#08 2011-09-28

第1回理数科講演会

第1回理数科講演会

 7月12日に「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性」と題して東北大学の渡辺正夫先生が講演されました。講演の初め,私たちに問題を出されましたが,それはいくつかの花の写真の名前を答えるというものでした。答えは,ネギ,ナス,ムギ,サトイモ,ミカン,ウリ,サツマイモ,ゴボウ,クリ,レタス,パッションフルーツでした。すべてを答えた人はいませんでした。先生はこの問題を通して,私たちが如何に普段見ている植物を気にしていないかを教えてくださいました。

 続いて,先生の研究テーマである,高等植物の自家不和合性の話をして下さいました。自家不和合性とは,自分の花粉が柱頭についたときに,その花粉との受精や種子形成を防ぐことで,種の多様性を保つ働きです。先生は主にアブラナ科植物の自家不和合性について研究しています。アブラナ科の植物の自家不和合性では,1遺伝子座s複対立遺伝子系によって制御されており,s遺伝子表現型が花粉と柱頭一致したときに花粉管の侵入が阻害される,つまり,不和合が起こります。動画では,柱頭の上に他家受粉の花粉と自花受粉の花粉がありましたが,他家受粉のものだけが膨らんで花粉管が発芽しました。この現象がおこるメカニズムは,花粉の表面についているタンパク質と柱頭の表面にあるタンパク質が結合すると,柱頭から,花粉管の発芽を阻害する物質が分泌され流れることで起こります。二つのタンパク質が結合するかしないかは,上記の遺伝子によって起こります。これ以外にも自家不和合性には様々な形があり,植物の遺伝的多様性を保っています。

 講演の最後に,先生は,私たちに「毎日,頑張ること・努力すること・続けること」が大切だというメッセージをくださいました。今回の講演では,先生と生徒がお互いに質問しあい,活発で充実した一時となりました。

 

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2年理数科研修会

2年理数科研修会

 6月30日に理数科2年生は東北大学工学部に見学に行きました。今回は大学の研究室というものの雰囲気を実際に感じることが主な目的です。機械知能・航空工学科,情報知能システム総合学科,化学・バイオ工学科,材料科学総合学科,建築・社会環境工学科の6つの班にわかれて見学等を行いました。

 化学・バイオ工学科では,微量の金属の分子量の測定や遺伝子組み換えの研究,機械知能・航空工学科では,ナノサイズでの材料や物体の性質や強度の評価についての研究や摩擦力,情報知能システム総合学科ではレーザーやプラズマに関する研究を見学しました。

 最後には大学院生と懇談をして,大学や研究室の雰囲気についてや,大学は高校と違い研究方法などを自分で考え行動しなければならないということを教えていただきました。また,大学院を卒業した後の進路についても知ることができました。

 貴重な時間を割いてくださった研究室の方々,ありがとうございました。今回の研修会で学んだことを今後の学校生活や進路選択に役立てていきたい思います。

 

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第1回SSH講演会

第1回SSH講演会

 7月20日放課後,白神山地のフィールドワークへ向けての事前学習も兼ねて,SSH講演会が開催されました。講演されたのは東北大学生命科学研究科の中静透教授です。『森は動いている』という題で,長い年月の中での原生林ができる仕組みについてご講授されました。

 原生林は成長が早く明るい所でしか生きられない植物(先駆種)から,成長が遅く暗い所でも少しずつ生きられる植物(極相種)へと移り変わって,林になります。中でもブナの木は極相種に分類され,ブナ林は長い年月を費やしてできたものなのです。詳しく説明すると,先駆種の林ができ,それらが枯れる頃には次の林ができるというサイクルが繰り返されて,最終的にブナ林になります。

 しかし時には,土砂崩れや地震,台風などの自然災害で多くの木が死んでしまうことがあります。一見,林にとっては悪影響に思えますが,頻繁でなければむしろ良い影響と言えます。なぜなら寿命よりも長く生きている木や,病気の木をなくしスムーズな世代交代の手助けとなるからです。

 原生林は,以前に多くの木の移り変わりがあって今生きている木へと至っています。私たちはその長い歴史の一部を見ているに過ぎません。それを理解した上で原生林を守っていくことが,これからの私たちに課せられた義務だと言えるのではないでしょうか。 

 

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SSHフィールドワーク 〜白神山地実習〜

SSHフィールドワーク 〜白神山地実習〜

私たちはSSHの行事で,3日間の白神山地研修に参加しました。その3日間の主な活動内容を報告します。

 

1日目

 学校を出発しバスで揺られること数時間,アオーネ白神に到着。午後から今回の研修のメインである,フィールドワークを開始しました。

 フィールドワークの内容は,特定の木の幹の円周を計り,去年までのデータと比べどのような変化があったかを調べるものでした。それにより森がどのように成長したかを調べるのが目的で,実習は深浦町教育委員会の神林先生に指導していただきました。

 今回の調査は普段は入ることの出来ない場での調査で,足場が悪かったりと大変なことも多くありましが,無事調査できました。調査を行うにしたがってしだいに木の種類が分かるようになったのは自分たちも驚きでした。

 夜は午後に測定した調査結果をPCに記録しました。

 

2日目

 朝から調査開始。今回の調査は植物の成長と光の関係の調査でした。

 このフィールドワークでは,東北大学の中静先生の指導のもと,魚眼レンズのカメラを使用し,特定の木の上方の光透過率を計測しました。今回はブナとアサダを主に調査しました。また,明るいところの木と暗いところの木の違いを調べるため,枝の長さを測定し,その枝の葉を2,3枚採取しました。

 実際にやってみると,撮影の仕方が難しく,カメラの設置などに苦労しました。明るいところのブナと暗いところのブナ,明るいところのアサダと暗いところのアサダの違いを知ることができました。

 この日は,午後から弘前大学の檜垣先生の指導のもと,追良瀬川の地形調査を行いました。地滑りのあった場所での追良瀬川の速さ,深さ,幅を計測。その結果から当時なにが起こったかを検討し,実際の記録と照らし合わせました。

 とにかくアブが多くで大変でしたが,地滑りの時に埋まった木を発掘できました。また,計算結果と比べて実際の記録とほぼ同一で正しいことが分かり,達成感を得ることができました。

 

3日目

 この日は,朝から十二湖の探索でした。十二湖を巡り,一つ一つの湖について弘前大学の檜垣先生から説明していただき,十二湖の地形がどのようにできたかを知り,その自然を味わいました。十二湖の中では,青池が一番印象に残りました。青池がなぜ青く見えるかは科学的に解明されていないらしく神秘的だと思いました。

 

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SSHつくば研修

SSHつくば研修

 8月4~6日に私たちはつくばで研修をしました。1日目は防災科学技術研究所に行きました。防災科学技術研究所とは日本をあらゆる災害から守るために日々,台風や津波などの自然災害を観測・研究している施設です。今回は中でも地震についての講演をしていただきました。内容としては全国にある地震計の種類や数,それを利用した緊急地震速報についてでした。その後,実際にペットポトル地震計を作成し,揺れを測定しました。

 2日目は高エネルギー加速器研究所に行き,世界最高の性能を持つ巨大な加速器と測定機を見学しました。加速器とは電子や陽電子などの電荷を持った粒子を電気的な力で加速する装置のことです。この研究所のKEKB加速器とBelle測定機は小林・益川理論が予測するB中間子のCP対称性の破れを2001年に実証し,両教授のノーベル賞受賞の決め手の一つとなりました。現在は運転を停止し,更なる性能向上のための改良が進められています。


 3日目はJAXA(独立行政法人 宇宙航空研究開発機構)の筑波宇宙センターに行きました。施設内を各自,自由に見学し,大変充実した時間を過ごしました。

 この3日間は私たちにとって科学の最前線を見ることができ,とても良い経験になりました。今後もこのような行事に積極的に参加していきたいと思います。

SSH生徒研究発表会

SSH生徒研究発表会

 8月11,12日に神戸の国際展示場でSSH生徒研究発表会が行われました。これは全国でSSHに指定された高校で行われた研究を発表する場です。今年度は日本の133校に加え,タイなど外国の高校も参加しました。

 初めに,SSH指定3年目の高校による分野別口頭発表が行われました。どの高校も多くの生徒,先生方の前で堂々と話し,質問にも的確に返答するなど,すばらしい発表でした。

 その後,ポスターの前で研究について近距離で発表するポスターセッションを行いました。近距離のため,質疑応答が大変活発になり,口頭発表よりも詳しく興味のある研究について知ることができました。私達SSHクラブもポスターセッションをしましたが,専門の教授の方々から指導を受けました。これからも研究を行う上でとても有意義な時間となったと思います。

 来年は三高も指定3年目となり,この発表会で口頭発表をしなければなりません。すばらしい発表ができるよう,各自の研究を頑張りましょう。

 

SSHわくわくサイエンス

SSHわくわくサイエンス

 私たち自然科学部・化学班は,SSHわくわくサイエンスの活動として,小・中学校で科学教室を開きました。夏休み中に訪れた学校は,太白小学校,西山小学校,しらかし台中学校,富沢小学校,中山中学校の5校です。

 実験は,小・中学生に楽しんでもらえそうなものを全て自分たちで考えました。実験の内容は,

・ペーパークロマトグラフィー
・炎色反応
・刺しても割れない風船
・インジゴカルミン
・光るスライム

などです。特に楽しんでもらえたのは,小学生は「光るスライム」,中学生は「炎色反応」でした。この科学教室で,科学への興味を深めてもらえたら嬉しいです。また,この科学教室は私たち三高生にとっても,とても貴重な経験でした。教える事によって学ぶ事もあり,この経験をこれからに活かしていきたいと思います。

 

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ループ・アンテナで聞くゲルマ・ラジオ

ループ・アンテナで聞くゲルマ・ラジオ

 第1回SSH身近なテクノロジーが7月27日に開かれました。今回は,ゲルマニウムラジオを作って,ラジオ放送を聞いてみようという題材でした。

 ゲルマニウムラジオというのは,ゲルマニウムダイオードの整流作用を利用したAMラジオ受信機のことです。ダイオードというと発光ダイオード(LED)についてを思い浮かべる人がいると思いますが,そもそもダイオードというのは,整流作用(電流を1つの向きにしか流さない作用)を持つ電子素子のことを指します。

 AM(振幅変調)の電波を受信する場合,電波から音声信号を取り出すには,整流作用を持つ素子(今回はゲルマニウムダイオード)に電気信号を通す必要があります。そして,可変容量コンデンサーのポリバリコンを使うことでAMラジオの同調を行います。また,今回は150cm四方となるようにコイルを10巻したものアンテナとして用いました。

 なお,ゲルマニウムラジオでは,アンテナから受けた電波のみを電源として利用するため,検波によって得られる音声信号は非常に微弱です。そのため受話器も微弱な電流を音声に変えられるものが必要になります。なので今回は,クリスタルイヤホン(圧電素子による圧電イヤホン)を用いました。

 この,検波回路,同調回路,アンテナ,受話器があればラジオを聞くことができます。実際に作ってみても,十分聞くことができる音量でラジオが聞こえました。

 SSHではこういった企画をたまに行っています。次回の内容は未定ですが,是非参加してください。

 

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SSHコラム #6 〜太陽電池のしくみ〜

SSHコラム #6 〜太陽電池のしくみ〜

 原発廃止にむけて騒がれている今日この頃。代替エネルギーとして注目され始めているうちの1つ,太陽光発電ですが,仕組みを知っている方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は,その仕組みについて説明したいと思います。

 まず皆さんは太陽光発電に太陽電池と呼ばれるものが使われていることをご存知でしょうか。太陽電池とは2つの半導体によって構成されています。それらについて説明する前に,半導体について少しお話したいともいます。半導体とは,電気をよく通す良導体とあまり通さない絶縁体の中間的な物質のことを指します。つまりは電気を通す時もあれば,通しにくい時もあるということです。その差はまわりの電場(電気の力のはたらく空間)や温度によって変わるそうです。

 さて2つの半導体とはP型半導体(positive型半導体)とN型半導体(negative型半導体)のことです。P型半導体とは結晶の内部に電子が欠落した空間,すなわち正孔を持ちます。その中に正の電荷を持った粒子のように働く「ホール」と呼ばれるものがあり,その半導体のことをP型半導体といいます。またN型半導体とはP型半導体の逆で結晶の中に電子があり余っている半導体のことです。水を電子だとすると水を吸っていないスポンジと水を吸いすぎたスポンジのようなものです。

 話を戻したいと思います。先ほどのP型半導体とN型半導体を接合したPN接合半導体に光が当たると光エネルギーを電子が吸収し,そのエネルギーを使って電子とホールが衝突して消滅した結果,空乏層と呼ばれる何もない空間ができます。さらに光が当たり電子は衝突しようとしますが,空乏層に阻まれ跳ね返ります。その跳ね返ることにより電流が生まれます。またその電流はドリフト電流と呼ばれ,実際に電気として使われています。

 太陽電池のことをご理解頂けたでしょうか。これで第6回SSHコラムを終えたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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科学イベント紹介

科学イベント紹介


<東北大学サイエンスカフェ>

10月28日(金)

国際宇宙ステーション「きぼう」における小さな宇宙飛行士 線虫!
東谷篤志 東北大学大学院生命科学研究科 教授

場所:仙台メディアテーク

http://cafe.tohoku.ac.jp/event/index.html

 

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