SSH通信

#07 2011-05-31

理数科の日

理数科の日

 5月17日に理数科の日が開催されました。講師の先生方をお招きして,全学年の理数科の生徒が3年生による19班の課題研究発表を聞きました。課題研究では,1年生の後半に研究内容別に分かれ,約1年を通して研究を行います。研究を通して科学的な探求活動に必要な能力を身に付けることを目的としています。

 今回の発表会は前年よりレベルの高い発表となったと思います。意見交換も活発に行われ,とても有意義な1日だったと感じました。アンケートを集計したところ,特に印象に残った発表2つを紹介したいと思います。1つ目は「SIRモデルによる感染症伝播のシミュレーション」です。感染症がどのように広がるかをさまざまな条件で検討し,考察したものです。2つ目は「暗号化の防衛力」です。素数を用いた暗号の仕組みについての分析です。

 発表を見ていた1,2年生の感想には「とてもすばらしく自分達の課題研究の参考にしたい」という意見が多かったです。3年生の感想では,時間がなかったことや質問の仕方に関する意見が多く見受けられました。また,苦労した点としては,説明や発表の仕方や考察のまとめ方が挙げられていました。研究を行った3年生から後輩へのアドバイスとしては,

・計画を立てて実験をすること

・PCや本で見つけた方法にとらわれすぎないようにすること

・先生の指示を待つのではなく,積極的にアドバイスを貰いにいく

などが挙げられていました。

 今回の発表を受けて,1,2年生はこの先の課題研究に向けて,また3年生は今後の受験に向けて頑張って欲しいと思います。来年も有意義な発表になるといいです。

 

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平成22年度宮城県高等学校理数科課題研究発表会

平成22年度宮城県高等学校理数科課題研究発表会

 3月3日に平成22年度宮城県高等学校理数科課題研究発表会が開催されました。宮城第一高校,仙台向山高校,仙台第三高校の理数科生徒約400人が参加し,各校2班が課題研究発表を行いました。

 

記念講演(第4回理数科講演会)

 記念講演として,東北大学大学院理学研究科教授の小谷元子先生に「新しい文脈のなかでの数学」という題で講義をしていただきました。内容は,数学と科学には強い結びつきがあり数学が科学全体の共通言語であるというものでした。これまで,数学は純粋に数学的な興味によって研究される側面が強かったが,これからの数学は積極的な社会貢献のための研究もされるべきだと話されていました。


課題研究発表

最初は三高の「魔方陣の研究」の発表でした。1~3次の魔方陣について独自の証明を行い,高次魔方陣の例として4次魔方陣の性質を生かして8次魔方陣の作成を試みたという内容でした。
 2番目に宮一による「浮沈子を用いた温度計の製作」で,浮沈子と身近な液体を用いて温度計を製作した過程を発表しました。
 3番目に三高の「ヘリコプターの研究」で,本物のヘリコプターの飛んでいる仕組みを調べるために玩具のヘリコプターを用いた模型を使い安定飛行の原理の解明ができたという内容でした。
 4番目は向山の「納豆が持つミラクルパワー」では,納豆には吸水性やカビの繁殖を抑える効果があるということを様々な検証実験で確認したことを発表しました。
 5番目は宮一の「津波のモデル実験による解析」で,いくつかの海底地形をモデル化して,それぞれの違いによる津波の変化を研究し発表しました。
 最後は向山の「沼の堆積物から環境の変化をさぐる」で,沼から採取した地層を分析して過去の津波の有無について考察し発表しました。

 発表後の講評では,発表中に出てくる言葉の定義が疎かであったことや,研究内容のまとめが甘い等の反省点が指摘されていました。次は現在の2年生が課題研究の発表を行う番です。今回の反省や指摘を生かしてより良い発表を目指して研究に臨んでいきたいです。

 

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第4回SSH講演会

第4回SSH講演会

 2月4日の放課後に第4回SSH講演会が行われ,東北大学大学院環境科学研究科教授の細谷憲先生に「高分子多孔体の科学 ~水をきれいにする・水の性質を変える~」という題で講演をしていただきました。
 また,細谷研究室の3名の方々と一緒に,高分子多孔体として実際に色付き発泡ウレタンを作成する実験と,高分子多孔体と遠心分離機を使って入浴剤入りの水を透明できれいな水にする実験と,塩酸に漬けた高分子多孔体を使って水の性質を変える実験を行いました。

 今回の講演で細谷先生は,水に関わるたくさんの問題を喚起されました。
 まず,蛇口をひねるだけで透明な水が出てくることは決して当たり前ではないということを聞きました。
 最初に,アフリカの子供が飲み水として,汚染されている危険な水(泥水)を汲んでいる写真を見せられました。現地では,土壌自体が汚染しているため井戸を掘っても危険な水しか出ず,水を浄化する技術も浸透していないため,人々は飲み水など,生活すべてにその危険な水しか使うことができないのです。アフリカの水を安全な水にするために現時点での高分子多孔体を用いた技術を使うには,ろ過に時間がかかる,さらに殺菌が必要,効率が悪いなど,まだまだ多くの問題があります。そのため,高分子を作る過程で手を加え,水の中から特定の物質だけを吸収する技術の改良が進められているそうです。

 また,意外なところで人間に返ってくる環境問題として,鳥インフルエンザの問題を挙げられました。インフルエンザの治療に使われる,タミフルやリレンザなどは水に非常に解けやすい性質を持っているため,下水処理場・浄水場を通っても分子が除去されずに川に流されています。そのため,その水を飲んだ鳥によって,それらの薬の耐性を持つ変異した新しいインフルエンザウイルスが発生し,蔓延する危険があります。

 細谷先生は,恵まれている環境に住んでいる私たちには実感はわきにくいかもしれないが,水道から出てくる水をそのまま飲んでも平気な国は本当に少ないことを理解することが重要だと仰っていました。
 日本では当たり前の光景でも,国によっては大変困難を極めることになっている場合もあることが分かり,恵まれた環境をただ享受するだけではなく,その奥にある問題を見極めることが重要であると思いました。今回の講演をきっかけに,さまざまな環境問題に自ら興味・関心を持ち,これからの生活に生かしたいと思います。 

 

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東北・北海道地区SSH指定校研究発表会

東北・北海道地区SSH指定校研究発表会

 東北・北海道地区SSH指定校研究発表会が1月29~30日に秋田で行われました。1日目は口頭発表,ポスター発表,交流会を行い,2日目は各分野の実験を行うといったスケジュールでした。

 口頭発表では,各校とも優れた発表でSSH指定校というもののレベルの高さを実感しました。
 ポスター発表では,ポスター発表という特性が活かされた密接で非常に活発な質疑応答が行われ盛り上がっていたようです。
 交流会は,各校ユニークな学校紹介で場の雰囲気を盛り上げてくれました。

 実験では,化学・生物・物理の分野に分かれ,講師の先生による講義や,指導のもとでの実験を行いました。各講義・実験とも,とても充実していたようです。私は気圧についての実験をやりましたが,楽しかったです。

 この発表会は毎年1回,東北・北海道地区のSSH指定校があるところで行われています。来年もまた,よい発表会になることでしょう。来年は北海道らしいです。

 

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SSH特別課題研究〜DNAの情報で生物を分類する〜

SSH特別課題研究〜DNAの情報で生物を分類する〜

 2月14日に宮城教育大学環境教育実践研究センター准教授である島野智之先生をお呼びし,パソコンを使って系統樹の作成を行いました。系統樹とは,共通祖先を有すると考えられるいろいろな生物種の間の進化的関係を樹木状に表現した図です。今回は「DDBJ」というデータベースのサイトからカサガイの仲間のリボソームDNAの塩基配列をダウンロードし,配列の違いを解析する「MEGA4」というソフトウェアを用いて系統樹を作成しました。

 作成途中で最も難しかったのはアライメントをとる(DNA, RNA, タンパク質の一次配列・一次構造の類似した領域を特定できるように並ぶように並べる)ことでした。この作業ではまずコンピューターで大まかなアライメントをとり,その後手作業で細かい修正を行いました。

 今回の実習では詳しい仕組みまでは理解することができず,系統樹の作成方法しか知ることができませんでした。しかし,今回の経験は生物を研究する上でとても有意義なものだったと思います。今後の研究に生かしていければいいと思います。

 

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科学イベント紹介

科学イベント紹介


<東北大学サイエンスカフェ>

6月24日(金)

目の錯覚は誤りか? ~脳における視覚情報処理の不思議~
塩入諭 東北大学電気通信研究所教授 

場所:仙台メディアテーク

http://cafe.tohoku.ac.jp/event/index.html

 

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