SSH通信

#03 2010-08-31

第1回理数科講演会

第1回理数科講演会

 7月21日の理数科講演会で,東北大学大学院工学研究科建設材料学研究室の久田真 教授のコンクリートについての講義を受けました。

 今コンクリートは道路,トンネル,電柱などたくさんのものに使われています。その材料は水,セメント,砂などを混ぜ合わせて作るのが一般的です。コンクリートは圧縮に強く,引っ張りに弱い材料です。コンクリートで作る橋などはコンクリートの中に頑丈になるように鉄筋を配置するなど工夫されています。

 しかし,日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。コンクリートは本来,丈夫で長持ちのする材料であり,それを使ったコンクリート構造物は,丈夫で長持ちするものです。ですが,自然災害などの想定外の力が作用した場合,倒壊してしまうことがあります。よって,コンクリート構造物を長持ちさせ,安全に利用するためには,設計,施工などで手を抜かず,ちゃんと建設し,日常的にしっかり維持管理をすることが大切だということでした。

 今回のような講演会はとても貴重な体験です。このような講演を通して,様々な分野に目を向けることは,自分の将来のためになると思います。

 

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1年理数科研修会

1年理数科研修会

 8月2日に理数科1年生は理数科研修会で東北大学片平キャンパスに行きました。午前中は,金属材料研究所で東北大学の先生による講演を聞いたり色々な研究施設を見学しました。

 午後からは,グループに分かれて電気通信研究所,多元物質科学研究所,生命科学研究科をまわって,それぞれの研究室で研究内容についての説明を受けました。研究施設の中には絶対零度に限りなく近づけて実験する所や,植物や動物について研究している所,3D技術などを研究している所があり,色々な分野の研究をしていることが分かりました。それぞれの研究がとても専門的で理解するのが難しいものもありましたが,とても興味深い内容でした。

 今回の研修で色々な分野の見学をすることができて,視野を広げることができました。また東北大学の研究施設は色々な分野で充実していてすごいと思いました。この体験を生かして,進路について考えていきたいです。

 

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SSHわくわくサイエンス

SSHわくわくサイエンス

 私たち自然科学部「化学班」はSSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)事業に関わる活動や生徒理科研究発表会に向けた研究活動を行ってきました。

 8月9日(月)には,地域の仙台市立西山小学校との交流でもあるSSH事業=「わくわくサイエンス」(科学教室)を実施してきました。また,8月11日(水)には同じ内容で,仙台市立太白小学校が実施している「太白アフタースクール」という学校と地域との連携による活動で,「科学教室」を開催してきました。行った実験のタイトルは以下のとおりです。

 1. ドライアイスをつかったふしぎな実験!
 2. ゆでたまごをつかったふしぎな実験!
 3. 大きなシャボン玉をつくってみよう!

 どちらの「科学教室」でも,小学生の真剣に取り組む姿勢や興味・関心を示す態度に,私たち高校生には学ぶところが多くあり,楽しく実験を行うことができました。

 

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SSH生徒研究発表会

SSH生徒研究発表会

 8月3日,4日の二日間,横浜市のパシフィコ横浜でSSH生徒研究発表会が行われました。

 

益川敏英教授講演「若者をかりたてる力」

 開会式において,京都産業大学教授で2008年度ノーベル物理学賞受賞者である益川敏英教授の講演を聞くことができました。講演の中で,有名な発明家であるエジソンの話が取り上げられました。

 「エジソンは,自らが開発した白熱電球の売り込みのための会社を設立し直流の電力を供給するシステムを確立させた。一方ライバル会社は,交流の電力を供給するシステムを確立させる。直流方式は電圧降下のため,狭い範囲にしか送電することができない。しかし,交流だと,高い電圧で送電して,どこでも電圧を下げることができるので,直流に比べて効率が良い。このことを知らなかったエジソンはその競争に敗れた。エジソンは電気に対する基礎的な知識が少なかった故に,敗れてしまった。多くの絶え間ない努力によって数々のすばらしい発明品を残したエジソンだったが,やはり基礎的な知識という部分においては,他の研究者に劣っていたのだろう。」

 この講演を通して,「何か大きな偉業を成し遂げるには,その土台である部分が大切だ,だから君たち若者は基礎を大切にした上で,応用的なことに取り組んでほしい。」というメッセージを私たちに向けて発しているのだと感じました。

 

口頭発表

 講演会の後は,4つの分科会に分かれてそれぞれの会場で口頭発表が行われました。どの発表も説明が分かりやすく,とてもスムーズに発表が進んでいました。特に私が参加した分科会は,研究内容がその地域の環境や生物についての発表だったので,内容を理解しやすかったです。分科会ごとに審査があり,各会場で1番良かった発表校が2日目の全体会で発表しました。

 口頭発表で評価された点は,テーマを1つに絞りそれにこだわって研究されているか,動機・目的が明確かどうかという点などです。この様な点に注意すれば,三高の理数科の研究発表がもっと良くなるのではないでしょうか。

 

ポスター発表

 分科会の後にポスター発表がありました。ポスター発表とは,それぞれの学校が自分達の研究をまとめたポスターを会場に掲示し,参加者に発表するというものです。参加者は興味を引く研究を自由に見て回ったり,発表者と個別に討議したりすることができます。

 どの研究にも独自の工夫が見られました。例えば,埼玉県立浦和第一高等学校の「ショウジョウバエの交尾行動は本当に雌の産卵を誘引するのか」という研究で,ぶどうジュースを培地に使用したことや,新潟県立柏崎高等学校の「イオンクラフト浮上条件」でブラウン管テレビの高電圧発生装置を使うことでイオンクラフトの浮上に成功したことなどです。

 プレゼンテーションでも工夫がありました。ポスター自体が,図やグラフなどで見やすくしてあったり,会場で実験の実演をしたり,参加者に資料を配り,その資料を使って多くの人に説明するなどの工夫があり,とてもわかりやすい発表がされていました。

 

SSH生徒研究発表会に参加して

 今回の生徒研究発表会で私は多くの学校の素晴らしい研究発表を見る事が出来ました。それらはどれも非常にレベルの高いもので,綿密に練られた計画や長い間の根気強い努力が感じられるものでした。

 その中でも非常に印象に残っている,ずば抜けて丁寧に纏められた発表をしている学校がありました。2日目の全体会で発表した兵庫県立神戸高校の「数理生態学に基づく感染症の流行予測 ~感染症モデルの構築と数学的考察~」という研究です。

 この研究は,昨年に神戸高校で国内初の新型インフルエンザ感染者が確認されたことから,感染症を数理的に解析して,社会の不安を和らげる有益な情報が提供できないだろうか,と考えた事をきっかけに始まった研究だそうで,まずテーマ自体が非常に個性的でかつ研究成果が有益になりえるという,大変着眼点の優れたものでした。また,テーマもさることながら, 研究の内容についても,新たな感染症モデルを組み立てて数値解法を使ってシミュレーションし,微分方程式による理論値との整合性を図ったという,高等知識に基づいた研究でした。ただ,私にとっては「なんだか良く分からないけど凄い物」という認識の域を超えず,内容を理解する事さえ難しいような難解な研究ではありました。

 発表自体も大変洗練されていて,進行が他の学校と比べてもスムーズだった上,時間内に説明できなかった箇所を補完するためのスライドまで準備してあり,質問に応じてそれを利用して説明するという事をしていて驚きました。これほどの研究をたった2人で発表していたのですからさらに驚きです。まさに彼らは「研究者」でした。

 来年度からは,仙台三高も参加することになります。誰が代表になってもいいように,みんな頑張って研究を進めて欲しいと思います。

第1回SSH講演会  ~森は動いている~

第1回SSH講演会  ~森は動いている~

 7月26日に東北大学大学院生命科学研究科の中静透教授に「~森は動いている~」という題でお話をしていただきました。

 白神山地でのSSHフィールドワークの事前研修も兼ねて開かれた今回は,ブナ林についての話でした。森ができるまでや木が育つための条件,人間による森への影響などについての話で,大変興味深いものでした。

 今回は,講演会のみの参加も可能だったのですが,事前研修として以外で聞きにきた人が少なかったようです。次の機会には,是非多くの人に参加して欲しいと思います。

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SSHフィールドワーク 白神山地ブナ林実習

SSHフィールドワーク 白神山地ブナ林実習

 夏休みの8月8日,9日の二日間,私たちSSHクラブのメンバー計18人は,ブナ林について研修を行うため,講師の先生と共に白神山地に行きました。
 初日,白神山地のブナ林に入り,ブナの1年単位での成長について知るため,指定されたブナの木の太さを5班に分かれて測定しました。林の中にはブナ以外にも様々な種類の木々が生えており,目的のブナを探すことに時間が掛かりました。中には倒れているブナもあり,更に作業は大変なものとなりました。1時間程に及ぶ作業を終え,全員の結果を集計したところ,ブナは昨年に比べて数ミリしか成長はみられませんでした。つまり白神山地に広がる広大なブナ林はものすごい年月を経て出来上がったものなのです。年月がかかるということは,人一人では観察しきることができません。だからこうして私たちが測定したのは,次の世代のためだということがわかり,いい経験ができてよかったと思います。
 夜には神林先生の白神山地のブナ林の特徴についての講義と,中静先生のブナの実生(芽生え)の年齢の数え方についての講義と実習がありました。白神山地は地滑りが起こりやすいとのことで,岩手・宮城内陸地震の地滑りととても似ているそうです。白神のブナ林をみることで数百年後の栗駒山を想像できるのです。
 2日目,悪天候の中,実習が始まりました。落雷などのため,実習時間を大幅に短縮して行いました。活動内容は林床のブナとハンノキの枝が今年になってどのくらい伸びたか,その場所の日の当たり方を調べ,その関係をみるというものでした。各班の作業は30分程で終了し,得られた結果は,ブナは他の植物とは違い,光が弱いところでも生き続けることができるということでした。ブナは光が弱いところではほとんど成長せずに生き延びて,光が当たるのを待つという性質があるのです。
 暑くて大変な作業でしたが,ブナの生態について少しでも知ることができてよかったと思います。今回の経験を生かして,これからの活動の視野をさらに広げることができればいいと思います。

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SSHコラム #3

IHクッキングヒーター

 今回はIHクッキングヒーターについて調べてみました。このIHですが,今までの鍋やフライパンが使えないこともあるそうです。一体どういうことなのでしょうか。

 

 IHクッキングヒーターとは

 電磁調理器やIH調理器などととも呼ばれる加熱調理器具で,ガスや火を使用せず,電気のみで稼働するものをいいます。

 

電磁波とは

 電気のあるところには電界が発生します。電流が流れると磁界が発生する。この「電界」と「磁界」を合わせて「電磁界」といい,電界と磁界が交互に作用しあって空間を伝わっていく「電磁界」の波を電磁波と言います。太陽光線やテレビ放送波も電磁波のひとつです。

 

電磁誘導加熱(Induction Heating)とは

 IH調理器では,コイルに25kHz付近の高周波電流を流して磁力線を発生させます。その磁力線が電気を通しやすい鉄,ステンレス製の鍋の底を通過すると,そこにうず電流と呼ばれる電流が発生し,金属の持つ電気抵抗によって 電力 = (電流の2乗) × 抵抗 の分だけジュール熱が発生して,鍋自体が発熱します。このようにコイルを使った加熱方式を誘導加熱といいます。

 

メリット

・ガスや火を使わずに発熱するため,安全性が高い。
・有毒なガスの発生や二酸化炭素中毒などの危険性が皆無。
・室内の空気を汚さない。
・防火対策の簡略化。
・安定した加熱管理制御を得意とするため,スープなどの液体の加熱に適する。
・酸素供給を目的とした換気を必要としない。
・周囲の空気などを温めない直接加熱であり,熱効率が高い(すばやく熱することができる)。
・天板が平らなため,掃除が簡単。
・コイルに流す電力を制御することによって容易に火力を制御することができる。
・鍋底のみを加熱するため,鍋やフライパンの持ち手が熱くならない。
・揚げ物をしていても周囲は熱くならない。

 

デメリット

・鍋釜等をガラストップ(コイル)から遠ざけると,誘導加熱および鍋釜等の温度検出ができず,加熱を停止させてしまうため,フライパンを使った場合に調理ムラを生じやすい。
・炙ることができない。
・一部ペースメーカーの誤作動。
・ある程度の電気抵抗を持つ金属製で,平らな底を持つ鍋しか使えない。(磁力線を受け止められないガラス製のものや土鍋,電気抵抗の小さいアルミ製や銅製のもの,底の丸い中華鍋,足つきの鍋は使えない)※天板の下に埋め込まれている安全センサーと鍋底が密着している必要があるため。
・上昇気流があまり発生しないため,換気がしにくく,周囲に油が付着する場合がある。

 

電磁調理器(IHクッキングヒーター)と電子レンジの違い

  電磁調理器(IH) 電子レンジ
加熱方式 電磁誘導 静電誘導加熱
原理 誘導加熱 (Inductance Heating)という方法を用いて,磁場の作用により,鍋そのものに電流が流れ,鍋自体が発熱する。 誘電加熱という方法を用いて, 食品に含まれる水の分子を直接振動させる(1秒間に24億5000万回)。その摩擦熱で食品自体が発熱する。
加熱され 
るもの
導体(鍋) 誘導体(食品)
加熱部 コイル 電極(マグネトロン)
使用周波 

低周波方式:50/60Hz

高周波方式:22~32KHz

2450MHz
食品の温 
まり方
鍋が発熱して食品が加熱される。 食品自体が発熱。

電子レンジとIHクッキングヒーターはどちらがよりエコなの?

 「ガス、レンジ、IHどれが省エネ?」(http://www.my-sapporo.com/environment/saveenergy/ih.html)によると,1kcalの加熱に排出するCO2,エネルギー,コストにもおいてもIHの方が少なく,IHはエコな調理器具であることが分かります。

電子レンジとIHの融合に成功!!

 三洋電機という会社が世界で初めてマイクロ波とIHを融合させた調理器を開発しました。
 食品を内側と外側から同時に加熱することによって,おいしい料理を作れるだけではなく,調理にかかる時間と手間を省くことができ,消費電力を抑えることで,CO2やコストの削減が可能になったとのことです。

 

参考URL:

「IHクッキングヒーターとは」
http://www.nl-support.jp/what.html

「IHクッキングヒーター電磁波Q&A」
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/kaden/ih/ih-q_a.htm

「IHクッキングヒーターのしくみ」
http://ih.hi-hi.jp/shikumi/index.html

「IH調理器/電子レンジの加熱方法とどこが違いますか」
http://www.livingdoors.jp/chc/?pid=5&fid=259&kw=&c=&typ

「知識の森・03」
http://homepage2.nifty.com/taki-forest/intelligence/intell-03.html

「電子レンジとIHを融合した業務用調理器」
http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/02/20/496.html

 

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